本作のタイトルが好みすぎて、本屋で出会ってすぐに購入しました。
ウキウキとお持ち帰り。その勢いのまま読破!
……とはならず。
しばらく積読し、後ろ髪引かれ続けること数年(数年⁉︎)
やっとやっとやっと、ようやく、読めました。
結論は
「もっと早く読めばよかったーーーー!!!」
ほんとーに後悔しています!
英米のベストセラーが日本でもヒット
2019年に刊行された『自由研究には向かない殺人』は、イギリスの作家ホリー・ジャクソンによるミステリー三部作の一作目。
そしてデビュー作。
高校を舞台とした、いわゆるYA(ヤングアダルト)のジャンルです。
英米ではシリーズ累計数百万部とか。
大ベストセラーです。
日本でも2021年刊行(東京創元社/創元推理文庫)以来、多くのミステリランキングで上位にランクイン。ヒット作となりました。
原題は『A Good Girl’s Guide to Murder』。
直訳すると「グッドガールの殺人ガイド」。
直訳のままだと、作品の魅力が伝わりにくいと思った担当編集さんがオリジナルのタイトルを考えたそう(PR TIMESより)。
編集さんすごい、天才。
「犯人は本当にその人?」から始まる沼
あらすじをご紹介しますね。
ストーリーの舞台
イギリスの片田舎の「リトル・キルトン」。5年前、町で一番の美少女アンディ・ベルが失踪。遺体は見つからないまま、交際相手だったサル・シンが彼女を殺害して自殺したと断定された。
主人公ピップの決意
高校生のピップは、幼馴染のサルを犯人とする結論に違和感を抱いていた。サルの無実を信じ、大学入試のための「自由研究(Extended Project Qualification)」という名目で、事件の再調査をすることに。
始まる調査
「犯人の弟」として周囲から孤立していたサルの弟ラヴィと協力し、当時の関係者に聞き込みを進める。同時に、過去の証言・SNSやネット上の記録・警察の資料も洗い直していく。
隠された真実
人気者だったアンディの裏の顔や、人々が隠していた秘密が次々と浮き彫りに。真相に近づくにつれ、ピップのもとに「これ以上調べるな」という不気味な脅迫状が届き始めて……。
テンポ感のあるスリリングな展開
ネットで感想を検索してみたところ
「読む手が止まらない」「一気読みした」という声が多く見られましたが、まさにその通り!
ごく普通の高校生の自由研究という日常的な枠組みが、しだいに命懸けの本格的な捜査へと変わっていくスリリングな展開が見どころです。
調査記録やメモなどが挟まってくる構成もアクセントに。臨場感があり、次が気になるエンタメ要素もバッチリ。500ページを超えるボリュームですが、すいすい読めてしまいます。
とくに後半は、作品世界に没入したまま一気に読破しました。
主人公ピップのキャラが良い
何より、主人公のピップが魅力的。
頭が良くて正義感があり、
勇敢で、かつ、抜群の行動力の持ち主。
明るくて快活でユーモアだってある。
それって、もしかして完璧な女の子?
いいえ、違います。
欠点だっていくつも。
不器用だし、空気も読めないし。
危険を顧みずに突っ走ることもしばしば。
読んでいるこっちはハラハラし通し。
でも、だからこそ、応援したくなるんですよね。
打ちのめされてボロボロになっても、
ひたむきに真実を探し求めるピップ。
このピップのキャラのおかげで重い展開も乗り越えられました。
心から推せる主人公です。
安心できるバディ感
サルの弟・ラヴィとのコンビもグッド。
ちょっとしたユーモアと、ほのかなロマンスと。
フェアな関係性が好印象。
お互いを信頼し合うふたりの軽妙なやり取りがシリアスな局面で救いとして機能しています。
私は、主人公の行く末が心配になるあまり、結末に近づくほど読み進めるのが怖くなってしまうことがあるんですが、本書ではラヴィの存在が安心材料となってラストまでスピードを落とさず読み進めることができました。
光と闇のコントラスト
“みんな顔見知り”の小さな田舎町。
濃密な距離感。閉鎖的な空気。
狭く息苦しい関係性のなかで徐々に暴かれていく秘密。高まっていく緊張と恐怖。
田舎の殺人事件といえばダークな空気感を孕んでいることが多いですが、読後の印象は風が吹いたようにすーっと爽やか。事件の凄惨さよりもピップの聡明さやラヴィとの心地よいバディ感、キャラの成長と絆に意識が向くからでしょうか。
闇があるから光がより輝く。
この対比が効いていて意外なほどに爽快な余韻が残ります。
まさに青春ミステリー。
読みごたえある深いテーマ
軽いタッチでぐいぐい読ませるエンタメ感がありながら、決して物足りなさを感じさせないのはテーマそのものがとても深く重いから。
人種差別や性的搾取、レイプ、ドラッグ、現代社会が抱える多くについて考えさせられます。
また
「みんなが信じていることは正しいのか」
というずっしりと重い問いが一貫して投げかけられています。
海外ミステリー苦手民にもおすすめしたい
・登場人物の名前が覚えづらい
・言い回しが古く表現が硬い
・会話表現(とくにユーモア)が伝わらない
・生活習慣などの文化の違いが馴染めない
など、翻訳ものにありがちなアレコレ。
人の名前なんてただでさえ覚えづらいのに
愛称まで出てきて、どっちなんだよ!って。
海外小説がとっつきにくいと感じる気持ちも、なんとなく分かります。
本書は、会話シーンやストーリー運びもテンポよく、海外ドラマを彷彿とさせる世界観。難解な言い回しや伝わらないジョークに手が止まるようなこともありません。
ミステリーは好きだけど海外作品はちょっと…
という人にも手に取ってもらいたいです。
映像化も大納得
イギリスのティーンエイジャーの生活が垣間見ることができて、海外ドラマ好きにもおすすめです。
イギリスの小さな町、閉鎖的な空気、ティーンたちの会話劇……
絶対ドラマ映えしますよね。
本作は2024年にドラマ化され、Netflixで配信されています。
イギリス制作の全6話で、主演はEmma Myers。
私は小説の余韻が薄れてから観る予定です。
これ、分かってくれる人いるでしょうか。
海外ドラマも大好きだから、できるだけ没頭して楽しみたい。でも原作とのイメージが違うと気になってストーリーに集中できない。
この解決策として、イメージの差異が気にならない程度に余韻が薄れてから観ることにしています。
それと、実写映像ってイメージ固定のパワーがすごいじゃないですか。映像を見ちゃうと、自分の頭の中のピップが上書きされて消えちゃうのがやっぱり寂しい。
脳内ピップにサヨナラできたら、心置きなく映像を楽しもうと思います。
シリーズで長く楽しめる
シリーズ作品として続くのもうれしい。
- 『優等生は探偵に向かない』
- 『卒業生には向かない真実』
- 『受験生は謎解きに向かない』
と、日本でも続編や前日譚が翻訳出版されていて、読むのが楽しみです。

